粗野という言葉にはあらあらしく洗練されていないこと、という意味があるらしい。
この粗野という雰囲気を出すものが好きで、そんなものをなんとなく集めてしまう。
ただ、粗野という言葉の意味は定義上その範囲であって、その言葉が似合うけどそれに輪をかけた空気をもつものがあって、一番似合う言葉が『粗野』だなぁというものがある気がする。(なにいってるの。)なんかあとに洗練ってはいっているから雑に作られているみたいな風味があるけどそうじゃないんだよなぁみたいな。あらあらしさはあるんだけどちゃんと細かいとこみて絶妙な落としどころで作ってるよなみたいな。数年前に、ヤマとカワ珈琲店で展示されていて買ったカージーさんのオブジェもそんなひとつ。
これは空き缶から作られていて、つり下げる部分の金具はそっけない細い金具のみ。作った人の美意識のみが、ものづくりの難しい責任感の制約から解き放たれて自由に現れている感じ。
うちはトイレに飾っていて、見るたびに、ああ美しいな、いいなと思う。おれは粗野なものが好きなんだなって思う。
数十年ぶりにお財布を買いかえたお客さん。今までお使いのお財布の使いやすかった部分を残しつつ、劣化のし易い部分をアップデートさせて、ステッチの目数や、革のイメージを相談させて頂いて作りました。仕様は一般的なデザインですが、使い手の方の大事な要素が詰まったお財布ができました。
これからまた数十年使って頂けるかなと思います。
こちらは、この春から高校生になられた娘さんへのプレゼント。赤い手染めの定期入れ。
おれは定期入れって使ったことないんだけど、きっとお財布や、名刺入れのように毎日使うから愛着もわいてくるし、思い出もたまってくるんだろうなっておもって作りました。
高校を卒業するころには傷もいっぱいついて艶も出て深い赤にかわってるんだろうな。
ありがとうございました。