今日も色々、美しかった。
黒姫山の近くに住み始めて3年。景色はどんなときもただ美しくて。
そんな『ただ』を大事にしたいなとここ最近はすごく思っていて。
2014年にお店を始めた頃は売るよりも来てくれる人をただ楽しませたいと思っていたし、扱わせてもらう動物の素材に対してリスペクトと感謝だけでやっていたんだけど。
いつの間にか既存の革のものづくり業界のことを自分のなかで否定して、大量生産や、他者や外部に批判する何かがあって、それをすることをエネルギーにしてものづくりをしている瞬間があって。
個人でものづくりをして生計をたてていくことは実はとても厄介だ。売る事とやりたいこと、個人でやっているからこそ理想をもって曲げられないものもあるし、気持ちの中で戦うこともあるだろうし、でも売らないといけない。そして作る物は何か別の他者と比較して作り上げてしまったものになってしまっていることもあるだろう。でも、
ものづくりの本質はそこにはなくて、本来は必要としてくれるただ一人の為に作るし、作る目的は生活にただ寄り添い素材にリスペクトをもち、必要最低限のものであるべきなのかもしれない。
最初に始めた頃、もっとさかのぼると、ものづくりの世界に入った19歳の頃に思っていた僕の『ただ』はいつのまにか汚れてしまっていて、こねくりまわして変な形になっていたのかもしれない。
ここ数年かけてゆっくりと、ぐるっと回ってやっともとの形に戻ってこれた、気がする。
明日も『ただ』を大事に作っていこうと思っている40歳です。